言痛・事痛(読み)こちたし

精選版 日本国語大辞典 「言痛・事痛」の意味・読み・例文・類語

こちた・し【言痛・事痛】

〘形ク〙 (「こといたし(言痛)」の変化した語)
① 人の言葉、うわさなどが多くて、うるさい。くどい。わずらわしい。
常陸風土記(717‐724頃)新治歌謡「許智多鶏(コチタケ)ば小泊瀬山の石城にも率て籠らなむな恋ひそ我妹」
② 様子や状態がはなはだしい。仰山である。ことごとしい。
※枕(10C終)四一「鶴は、いとこちたきさまなれど、鳴くこゑ雲井まできこゆるいとめでたし」
③ 度がすぎるほどに盛んである。立派すぎるほどである。
源氏(1001‐14頃)乙女「御車十五、御前四位五位がちにて〈略〉こちたき程にはあらず」
④ 事がわずらわしいほど多いさま。繁雑である。
蜻蛉(974頃)上「車かきおろして、こちたくとかくする程に」
⑤ 量や程度がはなはだしいさま。びっしりしている。たっぷりとある。度をこえて、わずらわしいと思うほどである。
万葉(8C後)一〇・二三二二「はなはだも降らぬ雪ゆゑ言多(こちたく)も天つみ空は曇らひにつつ」
狭衣物語(1069‐77頃か)四「立ち込みたる物見車ども、かち人どもも、こちたきまで多かり
こちた‐げ
〘形動〙
こちた‐さ
〘名〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android