石城(読み)イシキ

デジタル大辞泉 「石城」の意味・読み・例文・類語

いし‐き【石城/石×槨】

棺を納めるために墓の中につくった石の部屋いわき
万民を憂へめぐむ故に、―のえだちを起こさしめず」〈天智紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「石城」の意味・読み・例文・類語

いわ‐きいは‥【石城・岩城・磐城】

  1. [ 1 ] ( 石でとり囲んだところの意 )
    1. 敵の攻撃を防ぐために、天然の岩場などを利用して築いた石のとりで。
    2. 上代墳墓の一つ。棺を納めるために、土中に築いた横穴式の石室。いしき。
      1. [初出の実例]「言痛(こちた)けば 小泊瀬(をばつせ)山の 伊波帰(イハキ)にも 率て籠(こも)らなむ な恋ひそ我妹(わぎも)」(出典:常陸風土記(717‐724頃)新治・歌謡)
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] ( 石城 ) 古代の国名の一つ。国造(くにのみやつこ)が置かれたが、大化改新で陸奥国に編入、郡となる。養老二年(七一八)陸奥の南東部六郡を合わせて一国となったが、のちに再編入。
    2. [ 二 ] ( 岩城磐城 ) 東山道一三か国の一つ。もと陸奥国の一部で、明治元年(一八六八)陸奥の五分割により成立した。現在の宮城県南部から福島県東部にあたる一帯
    3. [ 三 ] ( 磐城 ) 福島県の南東部にあった郡。明治二九年(一八九六)石城(いわき)郡に統合されて消滅。
    4. [ 四 ] ( 石城 ) 福島県南東部にあった郡。明治二九年(一八九六)磐城・磐前(いわさき)・菊多の三郡および葉郡の一部が合併して成立。昭和一二年(一九三七)以降、平(たいら)常磐(じょうばん)・磐城(いわき)・内郷(うちごう)・勿来(なこそ)の各市に順次編入され、同四一年いわき市成立時に消滅。
    5. [ 五 ] ( いわき ) 福島県南東部の地名。昭和四一年(一九六六)平、磐城、内郷、常磐、勿来の五市のほか四町五村の合併により成立した市で、中心地は旧城下町の平。常磐炭田を背景に発展してきたが、その衰退にともなって脱石炭の商工業都市に転換。JR常磐線・磐越東線が通じる、浜通り(福島県東部の太平洋岸地域)南部の中心都市。
    6. [ 六 ] ( 岩城 ) 秋田県由利本荘市の地名。旧岩城藩二万石の城下町。地織り木綿が特産物。

いし‐き【石城・石槨】

  1. 〘 名詞 〙 木造の棺を納める石造りの棺、また、石棺を納めるために、墓の中につくられた石造りの部屋。石槨(せっかく)。いわき。
    1. [初出の実例]「万民を憂へ恤(めぐ)む故に、石槨(イシキ)の役(えだち)を起さしめず」(出典:日本書紀(720)天智六年二月(北野本訓))

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日本歴史地名大系 「石城」の解説

石城
せきじよう

博多の異称。一三世紀後半に博多に築造された石築地(元寇防塁)にちなむ。「梅花無尽蔵」に「石城即築紫博多也」とある。一四世紀中期には博多の異称として使用されている。中国や朝鮮の人物にも使用されており、国際的に通用した名称であった。明使趙秩は「石城為関西之要津」(関西は九州のこと)と記している(雲門一曲)。室町時代に朝鮮に通交した博多商人や九州探題関係者は、博多を「石城府」「石城」「石城県」などと称している(「朝鮮王朝実録」世宗元年六月甲戌条・同二年一一月己丑条・同三年七月乙丑条など)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「石城」の解説

石城 せきじょう

?-1865* 幕末の僧。
常陸(ひたち)(茨城県)新治郡の大岩寺の住職。元治(げんじ)元年天狗(てんぐ)党の挙兵にくわわり,各地を転戦。のち武田耕雲斎にしたがい京都にむかう。信濃(しなの)(長野県)和田峠で松本藩兵らと激戦後,本隊とわかれ近江(おうみ)(滋賀県)にはいり同年12月18日中河内村で彦根藩兵に捕らえられ,きられた。下総(しもうさ)葛飾(かつしか)郡(千葉県)出身。

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普及版 字通 「石城」の読み・字形・画数・意味

【石城】せきじよう

石の城。

字通「石」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の石城の言及

【陸奥国】より

…前者から〈みちのくに〉,後者から〈むつのくに〉の読み方が発生したと推定されている。 創置当初の道奥国はおそらく現在の福島県の全域と宮城県の南部を併せたものであったと推定されるが,その後山形県の内陸部や宮城県中部へと領域を広げ,712年(和銅5)出羽国設置に当たって山形県内陸部の最上郡,置賜(おいたむ)郡を同国に割き,718年(養老2)には福島県の全域と宮城県の亘理(わたり)地方とが分かれて石城(いわき),石背(いわせ)の2国が立てられた(2~3年後に再び陸奥国管内に復帰)。当時おそらく宮城県の北部までを領域としたらしい。…

【博多】より

…筑前国の港町(現,福岡市博多区)。
[古代・中世]
 古くは那津(なのつ),那大津(なのおおつ)と呼ばれ,8世紀中ごろから博多と称され,中世には石城(せきじよう),冷泉津とも別称された。当初は大宰博多津として,大宰府の外港的役割をはたした。…

※「石城」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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