家庭医学館 「言語療法の実際」の解説
げんごりょうほうのじっさい【言語療法の実際】
医療現場ではSTは、病院の脳神経外科、耳鼻咽喉科(じびいんこうか)、形成外科、歯科(しか)、口腔外科(こうくうげか)、リハビリテーション科などに所属しており、必要に応じて福祉・教育領域の障害担当職と連携をとりながら、失語症、構音障害などの言語障害のほか、聴覚障害、嚥下障害(えんげしょうがい)(飲食物を飲み込めない)の機能回復訓練を行ないます。
構音障害に対する発語器官の運動機能訓練や、失語症に対することばの表出・内容理解の訓練などの基礎的なことから、これを実際の発話に結びつけ、さらに家庭内、社会適応でのコミュニケーション能力を高めることまでが仕事となります。
医療現場ではたらくSTは、全国の大学や専門学校で養成されていますが、まだ数が少なく、聴覚言語療法を必要とする障害者総数200万人(推定)に対して、絶対数の不足が問題となっています。
言語障害のリハビリテーション環境は、徐々に改善されつつありますが、言語障害の人すべてに十分な訓練を行なえる現状ではありません。
ことばの障害に対する機能訓練を希望する人は、言語訓練部門をもつ医療機関の専門外来で相談することをお勧めします。