表出(読み)ヒョウシュツ

デジタル大辞泉 「表出」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐しゅつ〔ヘウ‐〕【表出】

[名](スル)心の中にあるものが外にあらわれでること。また、あらわしだすこと。「感情表出する」
[類語]表現表す体現具現表明表白名状筆舌発現描出形象化言い表す書き表す形容する

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精選版 日本国語大辞典 「表出」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐しゅつヘウ‥【表出】

  1. 〘 名詞 〙 内部にあるものを外に現わし出すこと。特に、精神内部のものを外部に現わすこと。また、その現われたもの。身振り表情言語などを含む。
    1. [初出の実例]「日本の字さしのに竹をきってけずりて、不明の処を表出するぞ」(出典:古文真宝桂林抄(1485頃)乾)
    2. 「あれは私の云ひたい事を五六段高くして、表出(ヘウシュツ)した様なもので」(出典:野分(1907)〈夏目漱石〉六)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「表出」の意味・わかりやすい解説

表出
ひょうしゅつ
Ausdruck ドイツ語

一般に人の心理的過程や内容が、外部に現れる様態ないしスタイルをいう。たとえば、ある講演者が壇上で講演する場合、伝達を意図する内容や主題ではなく、その際彼がどのようなしぐさをするか、話し声は高いか低いか、しゃべる速さが速いか遅いか、体はやせて背丈は高いか、どんな服をどんなふうに着ているか、あるいは板書の際にどんな筆跡の字を書くか、などこれらのすべてのようすが、人間行動の表出的側面にあたる。

 われわれはこれらの表出的手掛りから、その人についてある印象を形成する。ある場合には外部からの情動的刺激やストレスに対する精神生理的不随意反応、たとえば呼吸心拍数変化、ふるえ、赤面などをも「表出」に含める。人間の表出行動を性格学の重要な因子として重視するのは、ヨーロッパとくにドイツ心理学の伝統であり、L・クラーゲスの研究は有名である。

[細木照敏]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「表出」の意味・わかりやすい解説

表出
ひょうしゅつ
expression

心理学用語。生体内部の心的過程に応じて現れるなんらかの外的な兆候ないしは身体的活動,変化のこと。狭義には特定の運動や言語反応に伴って生じる表情などの種々の随伴的な活動,変化をさす。広義には生体がある状況に直面したときに引起す腺分泌を含めた全身の活動,変化をさす。このような表出は生体が高等になるほど分化し豊富になる。一般に基本的な表出の型は動物種に固有とされているが,人間の場合,文化的,社会的に種々の変容を受ける。

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世界大百科事典(旧版)内の表出の言及

【芸術】より

…ここに芸術が美をとどめおくことばかりか,ひいては美を新たに創造することをも使命として登場する。したがって創作の機構に芸術の特質は最も明らかとなるが,古来の創作論を大別すれば模倣説,表出説,形成説の三つが挙げられる。(1)模倣(再現)説。…

※「表出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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