誤想防衛(読み)ごそうぼうえい(その他表記)Putativnotwehr

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「誤想防衛」の意味・わかりやすい解説

誤想防衛
ごそうぼうえい
Putativnotwehr

正当防衛要件たる事実 (特に「急迫不正の侵害」) が存在していないのに,存在していると誤信して防衛行為を行うこと。もちろん違法性は阻却しないが,通説は事実の錯誤として故意成立を否定する。これに対し,法律の錯誤と解し錯誤が相当な理由に基づくものでないかぎり故意犯の成立を認める説も有力である。なお,正当防衛の要件があると誤信したうえで必要な程度をこえて過剰な防衛行為を行なった場合は,誤想過剰防衛と呼ばれ,過剰防衛と同一に扱われる。ちなみに,緊急避難の要件たる事実を誤認した場合を誤想避難という。

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世界大百科事典(旧版)内の誤想防衛の言及

【正当防衛】より

…この場合は,違法性は阻却されず犯罪は成立するが,非難可能性・責任が減少するので刑を減軽または免除することができる(36条2項)。急迫不正の侵害が現実にはないのに,あると誤認して正当防衛のつもりで行為した場合は誤想防衛と呼ばれ,故意がないとされる。 正当防衛の特例を定めたものとして,〈盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律〉(1930公布)の1条がある。…

※「誤想防衛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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