日本大百科全書(ニッポニカ) 「谷中谷」の意味・わかりやすい解説
谷中谷
こくちゅうこく
一つの大きな谷の中にさらに小さい谷が入り込んでいるもの。二輪廻性の谷(にりんねせいのたに)ともいう。谷中谷の横断面の特徴は、谷壁斜面に傾斜の不連続があることで、この変換部を肩という。肩より上部は壮年期または老年期の谷の横断形を呈し、肩より下部は幼年谷の横断形を示す。肩は現在の谷の侵食輪廻に先だつ前輪廻の谷の形成期につくられた谷床の遺物であり、肩は以前の侵食基準面を表す。谷中谷の縦断面は遷移点を有し、回春のおこったことを示す。また、なんらかの原因により谷床堆積(たいせき)物が段丘化して、下刻によって新たにできた谷をいう。段丘面は前輪廻の谷床を表し、基盤岩が露出している場合と堆積物が厚く覆うこともある。
[髙山茂美]