朝日日本歴史人物事典 「谷弥五郎」の解説
谷弥五郎
生年:明治1(1868)
明治期の博徒。「河内10人斬り事件」の犯人。妹おやなと共に孤児となり,河内国(大阪府)赤坂水分村で成長し,猟師の仕事と博奕で暮らす。10歳年上の義兄弟の木戸熊太郎(木戸家は農家)が,村会議員松永家の次男寅次郎に妻を奪われ,借金を踏み倒されたうえ殴打された怨みに加担して,明治26(1893)年5月25日夜半,おりからの豪雨をついて日本刀と村田銃で松永一家を襲い,老婆と幼児を含む10人を殺害した。弥五郎と熊太郎は人口500人の村に官憲400人が駐屯するという大がかりな山狩りによって,事件2週間後,金剛山で刺し違えて自決した。事件の背景には,真土村(神奈川県)騒動,秩父困民党事件など,農民と博徒が結ぶ反政府運動にこりた明治政府が,日清戦争1年前に村を締めあげた一連の政策があった。<参考文献>剣花道人編『残害事件河内十人斬』
(平岡正明)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報