日本の城がわかる事典 「谷戸城」の解説 やとじょう【谷戸城】 山梨県北杜市(旧北巨摩郡大泉村)の八ヶ岳の尾根上にあった山城(やまじろ)。国指定史跡。同県内最古の城ともいわれる。甲斐源氏の祖とされている新羅三郎義光(源義光)の子の源義清は平安時代に流罪となり、その子・清光とともに常陸国(茨城県)那珂郡武田郷から甲斐国(山梨県)市川荘へと移住した。市川荘は今日の西八代郡市川三郷町(旧市川大門町)にあたる。その後、清光は逸見(へみ)荘に居館を構えたことから逸見氏を名乗るようになるが、谷戸城は清光が築いた居館であるという伝承がある。『甲斐国志』によれば、清光は1199年(正治1)、同城内で死去したとされている。なお、甲斐源氏の嫡流は逸見氏だが、武田庄を本拠として武田氏を名乗った清光次男の信義を始祖とする傍流の武田氏が甲斐源氏を統率していくことになる(信玄は信義から数えて16代目の当主である)。同城跡には郭跡や横堀などの遺構が残っている。1976年(昭和51)に山梨大学考古学研究会による測量調査が、1982年(昭和57)には城跡の一部の発掘調査が行われて堀などの遺構が確認され、多数の遺物を出土した。2007年(平成19)には、谷戸城跡に隣接して、出土した遺物などを展示する「谷戸城ふるさと歴史館」がオープンしている。JR中央本線長坂駅から市営大泉バスで大泉総合支所下車。◇茶臼山城とも呼ばれる。 出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報