象徴界(読み)しょうちょうかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「象徴界」の意味・わかりやすい解説

象徴界
しょうちょうかい

フランスの精神分析家 J.ラカンが精神分析の場において区別した基本的な3領域 (象徴界,想像界現実界) の一つ。象徴界 le symboliqueとは,何よりも人間の言語活動によって特徴づけられる領域であり,無意識の構造が直接にかかわりを持つ。同時に象徴体系の総体と見られるような文化の秩序を含み,禁止や法が機能する領域である。想像界l'imaginaireとは,人間の身体的機能が未成熟で,大脳皮質を中心とした脳・神経系が不均整に発達しているという誕生時における特殊性に引き続いて,知覚される自己像 (鏡像) に異常な興味を持つという事態の裏に想定される領域である。ここはナルシシズムの働く領域であり,自己像に向ける性愛的関心と攻撃性によって自我形成にあずかる。現実界 le réelとは,人間となった生体にはそれとしてとらえることのできない領域であり,言語による分節もなく,想像的機能による心像もない,世界と生体の単なる連続性によってしか表象できない領域である。ラカンによると,精神病者にとっては,象徴界が現実界となっている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

知恵蔵 「象徴界」の解説

象徴界

想像界」のページをご覧ください。

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android