質的弁証法(読み)しつてきべんしょうほう

精選版 日本国語大辞典 「質的弁証法」の意味・読み・例文・類語

しつてき‐べんしょうほう‥ベンショウハフ【質的弁証法】

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Qualitative Dialektik の訳語 ) キェルケゴールが、ヘーゲルの量的弁証法に対してうち出した弁証法。神と人間との間には越えがたい本質的な差別矛盾があるが、人間の主体的実存のみが神に対する信仰を可能にすると説いたもの。性質的弁証法。実存弁証法。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「質的弁証法」の意味・わかりやすい解説

質的弁証法
しつてきべんしょうほう
qualitative Dialektik

キルケゴールの弁証法のことで,実存的弁証法ともいう。神と人間,すなわち無限なものと有限なものとの質的差別に立ち,信仰は主体的実存にのみ可能であるとする思想。質的な主体的実存,主観的なものを量化し,神と人間との断絶を無視するヘーゲルの弁証法が「あれもこれも」であるのに対し,質的弁証法は「あれかこれか」という絶対的選択となると説かれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android