賻物(読み)ふもつ

改訂新版 世界大百科事典 「賻物」の意味・わかりやすい解説

賻物 (ふもつ)

古代において,位を有する者が死亡した際に支給される葬祭料。喪葬令に詳しい規定がある。京官国司などの職事官が死亡した際には,正従一位から初位に至るまでの位階に応じて料物が支給された。正従一位には絁30疋,布120端,鉄10連であったのに対し,初位には絁1疋,布4端が支給されるに過ぎず,著しい身分格差があった。散位の三位以上は職事官の3分の2,四・五位はその半分と規定されている。《日本書紀》大化2年(646)3月条に見える〈大化の薄葬令〉には,葬送具に関する規定は見えるものの,賻物については触れていない。持統5年(691)9月に佐伯宿禰大目に対し直大弐の位を贈り,賻物を賜った記事が見えるので,689年施行の飛鳥浄御原令に賻物に関する規定が制定されていたのであろう。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android