出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
令(りょう)制における官吏の称呼の一つ。「さんに」とも読む。文武官のうち、現任の職務を有する職事(しきじ)に対し、位階だけあって官職についていない者をいう。散官、散事(女官)とも称する。散位は式部省の被管である散位寮に所属する。したがってその名簿は、この寮で保管することになっているが、のちには武散位のみは兵部(ひょうぶ)省に移管される。また散位のうち五位以上は長上(ちょうじょう)官で、この寮に毎日出勤するが、六位以下は番上(ばんじょう)で、1か月のうち15日間分番で出勤し、地方の外(げ)散位は国府に出仕する。その待遇については、五位以上は位田、位禄(いろく)などが支給されるが、六位以下にはこれがなく、また季禄も与えられない。
[渡辺直彦]
「さんい」とも。律令制下,位階だけをもち官職についていない者のこと。職事官(しきじかん)や雑任の退職した者が中心だが,位子などの労を重ねて叙位される者,献物などの臨時の叙位による者もある。散位寮がその名帳・朝集にあたり,内外・文武の別がある。五位以上は散位寮に長上し,六位以下の在京者は散位寮,京外は国府に分番して考課をうけるが,繁忙な官司に随時配属されることもある。のちに定員が定められ,定員外の者は続労銭(しょくろうせん)を納めて考課をうけた。
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…五位以上の子孫で蔭位(おんい)により位を有するが役職のないもの,致仕(ちし)・廃官・遭喪(父母の喪による解官)・患解(病気による解官)等により官職をはなれたもの,白丁出身で舎人(とねり)等の考により位をえたが官職のないもの,貢献等により位をえたものをさす。在京の五位以上は散位寮に,六位以下は分番で仕え,地方では国衙に仕えて雑使にあてられた。散位寮【山田 英雄】。…
…すなわち,中央諸官庁,大宰府,諸国などの史生,中央の伴部,使部,官掌・省掌などの掌類,大舎人・東宮舎人・中宮舎人らの舎人(とねり),兵衛,および親王の公的従者である帳内(ちようない),貴族官僚の公的従者である資人などは,いずれも番上であり,また大宰府や諸国府に勤務した下級職員たちも番上であった。そして式部省に籍を置く散位六位以下は散位寮に番上し,地方諸国の外散位は国府に番上したのであり,国府に番上した下級職員たちとともに外分番ともよばれた。番上は一般に,年間に140日以上勤務すると毎年の評定対象にされたが,帳内・資人は200日以上の勤務が必要であった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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