走り(読み)ハシリ

デジタル大辞泉 「走り」の意味・読み・例文・類語

はしり【走り】

走ること。また、走り方。「安定した走りランナー」「球の走りがよい」
滑らかに動くこと。また、そのぐあい。「戸の走りをよくする」「筆の走りがよい」
野菜・果物・魚などの、出回り期の最初に出るもの。走り物。初物。「カツオの走り」「走りのタケノコ」
ある物事のはじめとなったもの。先がけ。「梅雨走り」「流行の走り
走り木」の略。
「橋げたを渡る者あらば―を以て推し落とすやうにぞ構へたる」〈太平記・一四〉
台所の流し。
「―の出刃庖丁、ようがしておいたぞや」〈浄・宵庚申
逃亡すること。出奔しゅっぽん。駆け落ち。
失物か―か心中がかった者なら」〈浄・歌祭文
[類語]初物

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の走りの言及

【伊勢猿楽】より

…《風姿花伝》神儀編の諸国の猿楽座について記した個所に〈伊勢,主司(しゆし),二座〉とある。〈主司〉は〈呪師〉であり,伊勢猿楽が平安・鎌倉期の寺院の修正会・修二会で〈走り〉と呼ばれる芸を演じていた呪師の系統の座であることが示されている。〈二座〉とあるが,四巻本系の《風姿花伝》ではこのあとに〈和屋,勝田。…

【呪師】より

…呪師は,目に見えない魔障や善神に対処する役割を持つので,その挙措動作や声量も迫力を要し,気力を欠くことができない。東大寺修二会では,連日の呪禁(じゆごん)作法に派手な所作や声高の声明(しようみよう)で活躍するが,〈水取り〉〈走り〉〈達陀(だつたん)〉などが行われる特別の日には,その行事を指揮する。悔過系の行事における呪師の役割は,いずれの場合もほぼ共通しているが,法隆寺西円堂の修二会など,節分の鬼追いに関わる行事では,鬼に魂を吹きこむ役を兼ねることもある。…

【旬】より

…魚では生殖期直前の脂ののった時期であることが多く,蔬菜では収穫期の初めのころである。しゅん以前のものは〈走り〉〈初物〉,しゅん過ぎのものは〈しゅんはずれ〉と呼ばれたが,遠洋への出漁による漁獲や促成栽培の日常化により,日本人の食生活をいろどっていた季節感は薄れ,しゅんもまた失われつつある。(2)古く朝廷で毎月4回天皇が臣下から政務をきく儀式があり,これを旬(しゆん)と呼んだ。…

【逃散】より

…近世成立期の17世紀前半,逃散は領主に対する農民の主要な抵抗形態であった。その中には,〈走り者〉〈走百姓〉などの呼称であらわれる,隷属農民や小百姓の個別的な欠落から,大百姓が村内の小百姓や隷属農民を引き連れて村ぐるみで逃亡する集団的な逃散まで,さまざまな規模・形態のものが含まれる。このうち〈走り〉〈欠落〉などの個別的な逃亡を除外すると,逃散は単なる村からの逃亡ではなく,領主に要求を受け入れさせるための計画的な同盟罷業といった色彩をもつことが多かった。…

【流し】より

…板を組み合わせた箱型の流しも,民家では古くから使われているが,この場合は脚がなく,床板の上に直接に箱を据えるのが古い形式で,持ち運びするものもあった。民家の流しの名称には,走り,流し,すいばん,ふねなどが使われた。 これらの古い形式はしだいに改良され,石をくりぬいた流し,木箱に銅板を張った流し,下に脚をつけて家事作業の便をはかった流しが江戸時代に発達する。…

※「走り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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