日本大百科全書(ニッポニカ) 「超並列処理コンピュータ」の意味・わかりやすい解説
超並列処理コンピュータ
ちょうへいれつしょりこんぴゅーた
massively parallel computer
安価なマイクロプロセッサーを1000台以上接続してデータを効率よく並列に演算・処理することにより、高速演算を可能にしたコンピュータ。マイクロプロセッサーごとにメモリーをもち、これにOS(オペレーティングシステム)が常駐してお互いに通信しながら並列処理を行う方式で、演算処理を効率的に行うソフトウェアも開発され、大規模情報の高速・並列処理を可能にした。
演算処理のきわめて速いコンピュータをスーパーコンピュータと称するが、スーパーコンピュータには1台のプロセッサーで処理するベクトル型と、超並列処理型(スカラー型)があり、1990年代以降は超並列処理型が主流となっている。1996年(平成8)から運用された筑波大学計算物理学研究センター(現、計算科学研究センター)の超並列処理コンピュータCP-PACSは、2048台のマイクロプロセッサーを搭載し、毎秒6000億回の演算速度を達成して話題となった。2011年(平成23)には、理化学研究所の「京(けい)」が8万8000個のCPU(中央処理装置)で演算速度毎秒1京回(10ペタ。1ペタは10の15乗の意)をクリアし、2013年には中国の天河(てんが)2号が312万個のCPUで毎秒3京回を超えるなど、搭載プロセッサー数を増して、処理能力の向上を進めている。
[岩田倫典]