日本大百科全書(ニッポニカ) 「超顕性」の意味・わかりやすい解説
超顕性
ちょうけんせい
overdominance
遺伝学の用語。二倍体生物におけるヘテロ(異型)個体が、対応するいずれのホモ(同型)個体よりも高い適応度を示す場合に用いる。ここで適応度とは、自然選択に対する個体の有利・不利の程度を表す尺度である。ヘテロ個体は少なくとも一つ以上の遺伝子座で二つの異なる遺伝子の型(対立遺伝子)をもっているので、そのような多様性が適応上有利である可能性がある。超顕性は雑種強勢の重要な機構であるが、雑種強勢がかならずしも超顕性を意味するものではない。雑種強勢の対象となる形質は、普通は厳密な意味での適応度とは異なったものだからである。また、超顕性は集団内の遺伝的変異を保有するためのたいへん有効な機構であるが、その普遍性に関しては疑問視されるようになってきた。
[髙畑尚之]
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