翻訳|dominant
生物の1組の対立形質について、ヘテロ(異型)の遺伝子型をもつ個体で、形質として現れる性質、またはその遺伝子を顕性という。これに対して、形質としては現れない性質、またはその遺伝子を潜性という。この語は遺伝の法則の発見者メンデルが、エンドウの種子や莢(さや)の形、色など互いに異なる7組の対立形質のなかのいずれか1組の対立形質をもつ両親の交配実験で生じた雑種第一代で発現される形質をdominant(優性)、隠されて発現されない形質をrecessive(劣性)と名づけたのが最初である(日本では長くそれぞれ「優性」「劣性」と訳されていたが、2017年ごろから「顕性」「潜性」を用いている)。顕性の形質の現れ方に応じて、完全顕性、不完全顕性、条件顕性などがある。
ヒトでは、手足の指の奇形が顕性遺伝をする。手の親指以外の4指の第2節が短くなる定型的短指や、人差し指や足の中指の短指症なども顕性形質として知られている。そのほか、強直性筋ジストロフィー(筋が最大収縮したあとで急速に弛緩(しかん)できなくなる。さらに知能低下などをおこす)や網膜芽細胞腫(しゅ)(3歳くらいまでの子どもの網膜にできる腫瘍(しゅよう)。自然に治癒することもあるが、多くは白色瞳孔(どうこう)や斜視、視力不良などをおこし、失明することもある)、無眼球症、無紅彩病なども常染色体性の顕性遺伝子によっておきる。
[黒田行昭]
『駒井卓著『人類の遺伝学』(1966・培風館)』▽『中野英一他著『公衆衛生学』(1990・理工学社)』▽『井出利憲著『ヒト細胞の老化と不死化』(1994・羊土社)』▽『黒田行昭編著『21世紀への遺伝学1 基礎遺伝学』(1995・裳華房)』▽『五条堀孝著『人間は生命を創れるか――進化学のあゆみと未来』(1995・丸善)』
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