国指定史跡ガイド 「足利氏宅跡〈鑁阿寺〉」の解説
あしかがしたくあと〈ばんなじ〉【足利氏宅跡〈鑁阿寺〉】
栃木県足利市家富町にある足利氏の邸宅跡。市の中心部に位置する鑁阿寺の寺域にあり、南に渡良瀬(わたらせ)川が流れ、東南には足利学校跡がある。この邸宅跡は、平安時代から鎌倉時代初期の足利氏の居館で、軍事的な機能が備わるなど、地方豪族の活動状況を知るうえで重要とされ、1922年(大正11)に国の史跡に指定された。造営は鎌倉幕府創設期の有力な御家人(ごけにん)だった足利義兼によると推定される。義兼は仏門に入って鑁阿と号し、寺号になったとされている。鑁阿寺は真言密教を奉じ、境内には大御堂(現本堂)や鐘楼などの堂宇を擁し、本尊をはじめ、諸仏や累代寄進の品々、文書や数多くの什宝(じゅうほう)を所蔵し、広く民衆の信仰を集めて現在に法灯を伝えている。JR両毛線足利駅から徒歩約10分、東武鉄道伊勢崎線足利市駅から徒歩約15分。