蹴込(読み)けこみ

精選版 日本国語大辞典 「蹴込」の意味・読み・例文・類語

け‐こみ【蹴込】

〘名〙
① 階段の、踏み板と踏み板との間の垂直の部分。
蹴込床(けこみどこ)前部垂直面の部分。〔日本建築辞彙(1906)〕
③ 家の上がり口の前面垂直の部分。縁から下、地面に至るまでに竹、板、金網などをとりつけてある所。
人力車で、客が足を乗せる部分。
※初すがた(1900)〈小杉天外〉五「腕車(くるま)のけこみに腰を掛けて眠ってゐた車夫は」
⑤ 劇場の大道具。階段の前面や二重舞台の前面および側面の垂直の部分。
歌舞伎・傾情吾嬬鑑(1788)四立「前通り塗骨障子を立て、欄間、蹴込(ケゴミ)綺麗にして」
⑥ 取引相場で、値段がある点以下に下がること。〔取引所用語字彙(1917)〕

け‐こ・む【蹴込】

〘他マ四〙
① けって中へ入れる。
※歌舞伎・助六廓夜桜(1779)「おれを馬鹿にするな、〈略〉鼻の穴へ屋形船を蹴込むぞ。口を引裂くぞ」
商売で損をする。くいこむ。
滑稽本・大千世界楽屋探(1817)中「ヘンお店はだしの身分所か、最う一割も蹴込(ケコン)でゐやせうぜ」

けり‐こ・む【蹴込】

〘他マ五(四)〙 蹴ってなかへ入れる。
※青い月曜日(1965‐67)〈開高健〉二「やにわにとびかかってしゃにむに道ばたの草むらへ蹴りこむ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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