転婆(読み)テンバ

デジタル大辞泉 「転婆」の意味・読み・例文・類語

てんば【転婆】

《語源未詳。「転婆」は当て字》「御転婆おてんば」に同じ。
「こいつはしゃべりの―め」〈浄・薩摩歌

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精選版 日本国語大辞典 「転婆」の意味・読み・例文・類語

てんば【転婆】

  1. 〘 名詞 〙 ( 語源未詳。「転婆」はあて字 )
  2. つつしみやはじらいに乏しく、活発に動きまわること。また、そのような女性。出しゃばり女。つつましくない女。おてんば。おきゃん。
    1. [初出の実例]「聞しより宮司の娘てんばなり〈夕兆〉」(出典:俳諧・となみ山(1695))
    2. 「傍輩のおしゅんじゃ、こいつはしゃべりのてんばめ」(出典:浄瑠璃・薩摩歌(1711頃)鑓じるし)
  3. ( ━する ) あやまちしくじること。粗忽であること。また、その人。男女いずれにもいう。
    1. [初出の実例]「ヱヱきついてんばどもじゃ」(出典:歌舞伎・傾城天の羽衣(1753)四幕)
  4. 親不孝で、従順でない子。男女いずれにもいう。
    1. [初出の実例]「ヤア天馬(テンバ)め、〈略〉親の事を訴人した罰があたった向ふ疵」(出典浄瑠璃・伊豆院宣源氏鏡(1741)三)

転婆の語誌

( 1 )もとは女性を対象とした語であったが、男性に対しても使用された。「てんば」が上方語であるのに対して、江戸語では「おてんば」といい女性にだけ限定されている。
( 2 )「転婆」の表記は「書言字考節用集」に見えるが、この表記を男性に対して使用するのをはばかったのか、「天馬」という表記も見られる。明治時代以降は「転婆」に定着した。→「おてんば」の語誌

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