軽む(読み)カロム

デジタル大辞泉 「軽む」の意味・読み・例文・類語

かろ・む【軽む】

[動マ四]軽くなる。
「この罪の―・むばかりのわざをせさせ給へ」〈・若菜下〉
[動マ下二]
軽くする。
「我にその罪を―・めて許し給へ」〈賢木
軽んじる。あなどる。
「独り身なる者は人に―・めらる」〈方丈記

かる・む【軽む】

[動マ四]軽くなる。かろむ。
「ひき助けさせ給はむことこそは、罪―・ませ給はめ」〈玉鬘
[動マ下二]軽く扱う。あなどる。
「世衰ふる末には、人に―・めあなづらるるに」〈少女

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「軽む」の意味・読み・例文・類語

かろ‐・む【軽】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 軽くなる。かるむ。
    1. [初出の実例]「ともかくも引き助けさせ給はむ事こそは、罪かろませ給はめ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 重さや物事の程度を軽くする。かるむ。
      1. [初出の実例]「我にその罪をかろめてゆるし給へ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)賢木)
    2. 軽く見る。ばかにする。あなどる。かるむ。
      1. [初出の実例]「さかしらに迎へ給ひて、かろめ嘲(あざけ)り給ふ」(出典源氏物語(1001‐14頃)行幸)
  3. [ 3 ] 〘 他動詞 マ行四段活用 〙 [ 二 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「軽(カロミ)(ないがしろにする)ことらを懐くこと无(な)し」(出典:蘇悉地羯羅経略疏天暦五年点(951))

かる‐・む【軽】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行四段活用 〙 軽くなる。かろむ。
    1. [初出の実例]「ともかくも引き助けさせ給はむ事こそは、罪かるませ給はめ」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)玉鬘)
    2. 「ただ罪深き身かるむばかりに静かにおはせん折は経など読みてきかせ給はば」(出典:あさぢが露(13C後))
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
    1. 重さやものごとの程度などを軽くする。かろむ。
      1. [初出の実例]「イタミヲ carumuru(カルムル) ツケグスリ」(出典:羅葡日辞書(1595))
      2. 「人は、善のよろこびをもてこころをかるめられずといふ事なし」(出典:こんてむつすむん地(1610)二)
    2. 存在や価値を軽く見る。軽視する。ばかにする。あなどる。かろむ。
      1. [初出の実例]「さだ過ぎ人をも、同じくなずらへ聞えて、いたくなかるめ給ひそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)

かる‐し・む【軽しむ】

  1. 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙かろしめる(軽)
    1. [初出の実例]「よろづの仏(ぶち)菩薩をかるしめまいらせ、よろづの神祇・冥道をあなづりすてたてまつると申事」(出典:親鸞聖人消息(13C中)略本四)
    2. 「諸軍勢かるしめあなどりて」(出典:仮名草子・智恵鑑(1660)四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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