日本大百科全書(ニッポニカ) 「輸出入手形」の意味・わかりやすい解説
輸出入手形
ゆしゅつにゅうてがた
輸出業者が輸出商品の代金を取り立てるために、外国の輸入業者を名宛(なあて)人(支払人)として振り出す為替(かわせ)手形のこと。輸出国側からみた場合には輸出手形export billといい、輸入国側からみた場合には輸入手形import billとなる。
輸出業者は、商品輸出と同時に輸出手形を振り出し、為替銀行に買い取ってもらって輸出代金を入手する。輸入業者からの代金の取り立てはこの為替銀行が行うことになる。このため、為替銀行が輸出手形を買い取るにあたっては、貨物を証券化して手形の担保とする船積書類(船荷証券、保険証券、商業送り状など)を添付した荷為替手形にしたり、輸入地の為替銀行が輸入業者の支払い能力を保証する信用状を添付したりするのが普通である。これらの制度によって、輸出手形の買い取りに伴う危険を回避し、貿易決済および金融を円滑にすることができる。船積書類を輸入業者に代金の支払いと同時に渡すのを支払渡し手形(DP手形)といい、支払いの引受けによって渡すのを引受渡し手形(DA手形)という。
[土屋六郎]