日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
農林漁業成長産業化支援機構
のうりんぎょぎょうせいちょうさんぎょうかしえんきこう
農林漁業者が産業として持続的に成長できるよう支援する官民ファンド。英語名はAgriculture,forestry and fisheries Fund corporation for Innovation,Value-chain and Expansion Japan、略称はA-FIVE(エーファイブ)。株式会社農林漁業成長産業化支援機構法(平成24年法律第83号)に基づき2013年(平成25)1月に発足。農林漁業者(第一次産業)が生産だけでなく加工(第二次産業)や流通(第三次産業)へ事業を広げる「六次産業化」を、直接投資や経営相談で後押しするほか、地方銀行や農協(農業協同組合、JA)などと全国各地に設立したサブファンド(2018年7月時点で45ファンド)を通じた間接投資で支援する。農業競争力強化支援法(平成29年法律第35号)に基づき、農林漁業関連産業の再編に取り組む事業者や農業機械分野に新規参入する事業者を認定し、投融資で支援する。2018年3月末時点で支援件数は131件、投融資総額は134億円。ただ会計検査院の調査(2017年3月末)では、投融資回収額と保有株評価額の合計が投融資額を下回って約10億円の損失状態にある。このため2018年秋に発足する産業革新投資機構を軸にした官民ファンドの再編・統合計画の候補にあがっている。本社は東京都千代田区大手町。出資金は319億0200万円で、政府が9割強を出資し、残りをカゴメ、農林中央金庫、ハウス食品、味の素(もと)などの民間企業11社が出資。会長は経営コンサルタントとして知られる堀紘一(ほりこういち)(1945― )、初代社長は元農林中金副理事長の大多和巖(おおたわいわお)(1942― )、2代目社長は元日本政策金融公庫取締役の光増安弘(みつますやすひろ)(1955― )。
[矢野 武 2018年12月13日]