間接投資(読み)かんせつとうし

改訂新版 世界大百科事典 「間接投資」の意味・わかりやすい解説

間接投資 (かんせつとうし)

国際資本移動の一形態で,外国の利子配当,キャピタル・ゲインの獲得を目的として外国の証券(株式,債券)等を購入すること。直接投資に対する用語。直接投資出資を通じて外国の企業への支配権を獲得するのと異なり,間接投資は単に国内より高率の配当等の獲得を目的としている。後者のもう一つの動機は資産の多様化による危険の分散である。しかし間接投資の厳密な定義は存在せず,広義には長期の貸付け等も含むが,狭義には証券投資を指す。間接投資は世界の国際資本移動の歴史の中で,1920年代まではその主流をなしたが,第2次大戦後,アメリカの対外投資を中心に直接投資の比重が大いに高まった。日本においては60年代末から資本自由化が行われ,間接投資も自由化された。このため70年代には間接投資は急速に拡大し,アメリカとは異なり,80年末において証券投資残高だけでも,対外・対内投資の双方において直接投資を上回っている。
国際資本移動
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「間接投資」の意味・わかりやすい解説

間接投資
かんせつとうし
indirect investment

経営参加を目的としない国際投資。直接投資とともに長期国際資本移動を構成する。直接投資が海外における事業活動に対する経営参加を目的とした投資であるのに対して,間接投資は元本の値上がり益や利子・配当収入の取得を目的として市場を経由して行われる外国証券投資の形をとることが多いため,証券投資と呼ばれることもある。しかし銀行の長期貸付借款,輸出入に伴う長期延払い信用なども間接投資に含まれる。 (→間接金融・直接金融 )  

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世界大百科事典(旧版)内の間接投資の言及

【国際資本移動】より

…国際資本移動とは,いくつかの種類の異なる国際金融取引の総称であるが,一般に経営資源(生産技術や経営上のノウ・ハウ)を含む広義の資本という生産要素が国際的に移動することである。国際資本移動は,(1)間接投資,(2)直接投資,(3)経済援助,贈与および賠償からなっている。(1)の間接投資とは,A国の居住者(政府,公共体は除く)がB国の居住者の証券(株式,社債,国債)を買うか資金を貸し付けることである。…

【資本自由化】より

…なお,非居住者による上場株式の取得であっても,比率10%に満たないものは対内直接投資とはみなされず,通常は大蔵大臣への届出のみで自由に実行することが認められている。これがいわゆる間接投資である。ただし,間接投資であっても,日本の国際収支均衡の維持の困難,外国為替相場の急激な変動等の〈有事〉の場合には,規制が発動される可能性はある。…

【直接投資】より

…企業が成長し,その生産・販売・経営の技術の集合である〈経営資源〉を,国境を越えて再配分する行為を直接投資と呼ぶ。証券投資portfolio investmentとしての外国証券の購入(間接投資)に対応する用語。外国で直接事業活動を行うところに特徴があり,対外(海外)直接投資direct foreign investmentともいわれる。…

※「間接投資」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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