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六次産業化 ろくじさんぎょうか

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知恵蔵2015の解説

六次産業化

一次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第二次産業第三次産業にまで踏み込むこと。今村奈良臣・東京大学名誉教授が提唱した。当初は1、2、3を足し算して6としていたが、一次産業がゼロになったら結局ゼロにしかならないという意味で掛け算に改めたという。
農林水産業の六次産業化の推進が叫ばれた背景には、加工食品や外食の浸透に伴って消費者が食料品に支払う金額は増えてきたものの、それは原材料の加工や調理などによって原料価格に上乗せされた付加価値分が増えただけで、農林水産物の市場規模はほとんど変わらなかったことがある。付加価値を生み出す食品製造業や流通業、外食産業の多くが都市に立地し農山漁村が衰退していく中、農家などが加工や販売・サービスまで行って農林水産物の付加価値を高めることで、所得向上や雇用創出につなげることが目指されたのだ。
このような考えは、各地で実践を伴いながら広まりつつあり、農業経営などが多角化するだけでなく、商工業の事業者と連携する動きもある。こうした動きを後押ししようと、2008年に「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律(農商工等連携促進法)」が制定されたのに加え、10年には六次産業化法(正式名称は「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」)が成立。六次産業化が、一次産業の振興や地域活性化を図る方策として進められている。

(原田英美  ライター / 2011年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

六次産業化
ろくじさんぎょうか

農林水産物を収穫・漁獲(第一次産業)するだけでなく、加工(第二次産業)し、流通・販売(第三次産業)まで手がけることで、農林水産業の経営体質強化を目ざす経営手法。農業経済学者で東京大学名誉教授の今村奈良臣(ならおみ)(1934― )が1990年代なかばに提唱した概念で、第一次産業の「1」に第二次産業の「2」と第三次産業の「3」を足して「6」になることから名づけた造語である。農林水産業者の六次産業化で、従来、第二次・三次産業事業者に回っていた加工賃や流通マージンなどを農林水産業者自身が獲得し、付加価値を向上させるねらいがある。農林水産物のブランド化、地域特産品の開発、消費者への直販などの手法がとられることが多く、販路拡大や農山漁村活性化と関連づけて論じられることが多い。
 政府は日本再生戦略の一環として六次産業化を推進するため2010年(平成22)12月、六次産業化法(地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律。平成22年法律第67号)を公布した。農林水産省が六次産業化する事業を認定し、補助金や情報提供などで支援している。「自家生産米からどぶろく製造・販売」「牧場でのジェラート(氷菓の一種)製造・販売」「高品質大根つまの周年安定供給」など、認定累計件数は2012年10月までに1101件に上る。2012年8月には、加工分野や販売分野への進出を金融面で支援する六次化ファンド法(株式会社農林漁業成長産業化支援機構法。平成24年法律第83号)が成立。国と民間企業が共同出資でファンドをつくり、農林漁業者と食品会社などが共同でつくる企業に出融資する制度が創設された。[編集部]

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