産業競争力の強化と民間投資の拡大を目的とする官民ファンド。企業救済色の強い投資が重なり批判を受けた前身の産業革新機構を改組し、2018年に発足した。人工知能(AI)など先端分野で成長が見込まれるスタートアップ(新興企業)や、地方の将来性がある技術の活用などを重点投資分野としている。改組前の投資案件は傘下のINCJが引き継いだ。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
次世代産業の創出・育成に重点的に投資する官民ファンド。産業競争力強化法(平成25年法律第98号)に基づき、2009年(平成21)に発足した官民ファンド産業革新機構を改組・機能強化して2018年秋に発足。産業革新機構の存続期間(2024年までの15年間)を9年間延ばし、存続期間が2034年3月末までの時限措置つき株式会社である。政府が定めた明確な投資基準にのっとり、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、自動運転、バイオ・創薬、宇宙、ロボットなどの次世代産業へ集中的に投資する。アベノミクスの推進役として乱立した官民ファンドの再編・統合を進める役割も担っている。本社は東京都千代田区丸の内。
前身の産業革新機構は、公的資金を活用した経営不振企業への救済投資が多く、産業界の新陳代謝を遅らせていると批判された。リスクや成長性の明確でないベンチャー投資もあり、ユニコーン(企業価値10億ドル以上)とよばれる大型のベンチャー投資は不足していた。この反省から、政府の明確な投資基準に沿って、政府と民間企業が効率的に成長産業を創出する投資機関を目ざす。日本では2017年度末までに14の官民ファンドが乱立し、会計検査院の投資損益調査(2017年3月末)では、このうち6ファンドが損失を抱え、事実上休眠状態のファンドもある。産業革新投資機構は他の官民ファンドへ出資する機能をもち、クールジャパン機構(海外需要開拓支援機構)など他の官民ファンドを傘下に置ける持株会社機能をもつ。これにより政府は産業革新投資機構を軸に官民ファンドを統廃合する計画で、官民ファンドの収益構造を改善し、イノベーション促進に向けて効率的で迅速な投融資の仕組みをつくる予定である。
[矢野 武 2018年12月13日]
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