農産食品工業(読み)のうさんしょくひんこうぎょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「農産食品工業」の意味・わかりやすい解説

農産食品工業
のうさんしょくひんこうぎょう

農畜産物を原料として加工食品を生産する工業。製粉醸造果実飲料,畜産加工,デンプン,アルコール原料,製菓,製パン,製糖乳業,製酪 (バター,チーズ) ,調味料,製油などその種類はきわめて多い。このうち製粉,ビール,製糖,乳業などは大資本による近代的量産体制がしかれているが,その他は中小企業が大部分を占めている。これは原料を現地で調達することを目的として,比較的小規模の企業が農村地帯に工場を設けたケースが多いことに起因している。また農協などが経営主体となって自己生産の形で食品加工を行う場合も少くない。原料が農産物であるため供給面に制約があり,農産物価格の変動も加わって経営コストが安定しないという弱点をもっているが,他方高度の固定設備を必要としないため資本負担が軽いという有利さもある。原料農産物の供給を外国にあおぐ食品工業 (製粉,ビール,製油など) では,大規模な食品コンビナートを設置して発展する方向にある。

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