朝日日本歴史人物事典 「近藤実左衛門」の解説
近藤実左衛門
生年:文政8(1825)
幕末明治期の侠客。念流の剣客で,中京地方に侠名をとどろかせた博徒北熊一家の親分。戊辰戦争のとき尾張(名古屋)藩の要請を受けて博徒を糾合し,集義隊を編成し,官軍方として北陸に転戦した。尾張徳川に属したためその戦功は明治新政府に認められず,集義隊士は維新後に再び博徒に戻る。明治15(1882)年実左衛門が賭博犯として検挙されると,残された幹部らは自由党左派の奥宮健之らの影響を受け,運動資金獲得のため徒党を組んで連続強盗をはたらく(名古屋事件)。65歳のとき恩赦で出所。服役中に侵俊食された縄張りを回復するため,瀬戸一家と壮絶な抗争を起こした。<参考文献>長谷川昇『博徒と自由民権』
(正延哲士)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報