精選版 日本国語大辞典 「逆櫓」の意味・読み・例文・類語
さか‐ろ【逆櫓】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 船尾をさきにして船を進めること。また、通常の櫓とは反対の向きにつける櫓。
- 逆櫓[ 一 ]〈日本山海名産図会〉
- [初出の実例]「梶原申しけるは、今度の合戦には、舟に逆櫓をたて候はばや」(出典:平家物語(13C前)一一)
- [ 2 ] 浄瑠璃「ひらがな盛衰記(せいすいき)」の三段目切の通称。木曾義仲の臣樋口次郎兼光が船頭松右衛門に身をやつして逆櫓の法を習い、義経を討とうと企てるが、失敗に終わる筋。
逆櫓の補助注記
「平家‐一一」は、源義経が屋島の平家を攻めるために摂津渡辺で舟揃をした際、逆櫓をつけることを主張する梶原景時と烈しく口論したとの逸話を載せる。逆櫓とは何かと問う義経に、景時は「舟はきっとをとしもどすが大事に候。艫舳(ともへ)に櫓をたてちがへ、脇楫(わいかぢ)をいれて、どなたへもやすうをすやうにし候ばや」と答えるが、そのような櫓のつけ方が実在したかどうかは不明である。