逐語霊感説(読み)ちくごれいかんせつ(その他表記)verbal inspiration theory

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「逐語霊感説」の意味・わかりやすい解説

逐語霊感説
ちくごれいかんせつ
verbal inspiration theory

聖書の一字一句は神の霊感(→インスピレーション)によって書かれ,聖書の記述に誤りのないことを主張する説。この考え方は旧新約聖書のなかにある(テモテ2書3・16,エレミヤ1・7など)。古代教会ではエイレナイオス(130頃~200頃)が主張してこの説の創始者となった。宗教改革以後発達した正統主義の時代にカトリック神学者(→カトリック)との論争過程で,トリエント公会議(1545~63)の結果ローマ教皇(→教皇)の絶対権に対抗し,聖書に権威を求めるあまり「人の教皇」に対して「紙の教皇」を立てたかの観があった。現代では聖書の批判的研究,歴史的言語学的研究により,霊感説は逐語的性格から救済史的性格へと進展している。今日この説の継承は根本主義(ファンダメンタリズム)にみられる。

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世界大百科事典(旧版)内の逐語霊感説の言及

【ファンダメンタリズム】より

…この立場に立つ人々は,聖書の権威,キリストの神性,贖罪の効力,罪人の回心や聖化を強調した。しかし進化論を拒絶し,近代的聖書批評学の成果を無視して逐語霊感説(聖書は一字一句に至るまで神の霊感によってなったもので無謬であるとする説)を墨守し,自分たちの信仰にくみしない者を排他的に非難攻撃するなどの偏狭な態度はやがて大勢の支持を失う結果となった。他方で,人々の弛緩した信仰や世俗化した生活に反省をうながし,純潔な敬虔を保存したことは評価される。…

※「逐語霊感説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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