改訂新版 世界大百科事典 「通信放送衛星機構」の意味・わかりやすい解説
通信放送衛星機構 (つうしんほうそうえいせいきこう)
日本の通信衛星と放送衛星の一元的な管理と運営に当たる認可法人として1979年8月,通信・放送衛星機構法によって設立された。92年10月,根拠法の改正に伴い〈通信・放送機構〉(Telecommunications Advancement Organization of Japan)と改称。業務としては,(1)通信衛星,放送衛星を他に委託して打ち上げること,(2)衛星の位置,姿勢を制御すること,(3)衛星に搭載された無線設備を,これを用いて宇宙局を開局するものに利用させること,が当初の規定であった。92年通信放送機構と改称。同年以後の改正により高度通信・放送研究開発の実施および支援を総合的に行うための諸業務が加えられた。通信衛星,放送衛星の機器的な面を担当する設備提供事業体といえる。郵政省,NHK,電電公社(現,日本電信電話株式会社),国際電信電話株式会社の出資金で運営される。同機構の衛星管制センターは千葉県君津市に設置されていたが,98年無人化され,2002年廃止となっている。日本も国内衛星の実用化の時代に入るにあたって,管理・運営を一元的に行う必要があるとの観点から設けられた。04年通信総合研究所と統合され,独立行政法人の情報通信研究機構となる。
執筆者:後藤 和彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報