郵政省(読み)ユウセイショウ

デジタル大辞泉 「郵政省」の意味・読み・例文・類語

ゆうせい‐しょう〔イウセイシヤウ〕【郵政省】

郵便郵便貯金郵便為替郵便振替簡易生命保険郵便年金事業および電気通信に関する行政事務を担当した国の行政機関。昭和24年(1949)逓信省を改編して設置。平成13年(2001)総務省に統合された。郵政事業は郵政事業庁を経て日本郵政公社に、平成19年(2007)からは日本郵政グループに引き継がれた。

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精選版 日本国語大辞典 「郵政省」の意味・読み・例文・類語

ゆうせい‐しょうイウセイシャウ【郵政省】

  1. 〘 名詞 〙 郵便・郵便貯金・郵便為替・郵便振替・簡易生命保険・郵便年金の事業と、電気通信、放送、電波利用に関する業務を担当した国の行政機関。昭和二四年(一九四九)設置。平成一三年(二〇〇一)総務省に統合された。また、郵政事業については総務省外局の郵政事業庁に移されたが、平成一五年、日本郵政公社にひきつがれた。
    1. [初出の実例]「郵政省の取扱中に係る信書の秘密は」(出典:郵便法(1947)九条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「郵政省」の意味・わかりやすい解説

郵政省
ゆうせいしょう

2000年(平成12)12月まで、国の郵政事業と一般行政事務である電気通信に関する事務を担当していた国の行政機関。その所掌事務および権限、組織は、郵政省設置法(昭和23年法律第244号)に定められていた。1949年(昭和24)、従来の逓信(ていしん)省が解体され、郵政省と、電気通信省に二分された。その後52年に電気通信省は廃止され、その業務の多くが日本電信電話公社に移管され、同公社の監督も含め、電波管理行政は郵政省の所管となった。なお、日本電信電話公社は、1985年に日本電信電話株式会社=NTTとなり、99年7月東日本電信電話、西日本電信電話、NTTコミュニケーションズおよび持株会社の日本電信電話に分割された。一方、郵政省は、2001年(平成13)1月の中央省庁再編に伴い、総務庁、自治省とともに再編統合され、総務省となった。

 郵政省で行っていた事務のうち、郵政事業については、企画立案と管理を所掌する総務省内の郵政企画管理局と、外局の郵政事業庁にそのまま引き継がれ、また、情報通信行政については、総務省内の情報通信政策局と総合通信基盤局に引き継がれた。郵政事業庁は、2003年(平成15)4月1日、新たに発足した国営の日本郵政公社に引き継がれ、それに伴い総務省内部部局の郵政企画管理局が組織改正され、郵政事業に関する制度の企画および立案等を所掌事務とする郵政行政局となった。その後、日本郵政公社は、郵政民営化により、2007年(平成19)日本郵政グループへと民営化、分社化され、持株会社「日本郵政株式会社」と、四つの事業会社「郵便局株式会社(郵便局)」「郵便事業株式会社(日本郵便)」「株式会社ゆうちょ銀行」「株式会社かんぽ生命保険かんぽ生命)」となり、郵政事業はこれら各社に引き継がれた。

 郵政省の業務は、国の事業である郵便事業、郵便貯金事業、郵便為替(かわせ)事業および郵便振替事業、簡易生命保険事業および郵便年金事業、電気通信に関する事務であり、また、以上の事業に付帯する業務、さらに、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、日本放送協会、国民生活金融公庫(旧国民金融公庫)または沖縄振興開発金融公庫から委託された業務、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)附則第5条第1項に規定する国際電信電話株式会社から委託された電報の取扱いに関する業務、印紙の売りさばきに関する業務、年金および恩給の支給その他国庫金の受入れ払渡しに関する業務、などを行っていた。

 内部部局として、大臣官房のほか、郵務局、貯金局、簡易保険局、通信政策局、電気通信局、放送行政局が置かれ、審議会等および施設等機関に、郵政審議会、簡易生命保険審査会、電気通信審議会、電波管理審議会、電気通信技術審議会、郵政研究所、病院、診療所、職員訓練所、通信総合研究所が、地方支分部局として、地方郵政監察局地方郵政局、地方電気通信管理局、沖縄郵政管理事務局、郵便局があった。

[平田和一]

『郵政省編『郵政百年史資料』全30巻(1968~71・吉川弘文館)』

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百科事典マイペディア 「郵政省」の意味・わかりやすい解説

郵政省【ゆうせいしょう】

1949年−2000年に存在した省。郵便郵便貯金郵便為替(かわせ),郵便振替簡易生命保険恩給・年金(年金制度)の支給および電気通信に関する事務を主管する中央行政機関。1949年逓信(ていしん)省廃止に伴い設置。1952年電気通信省の監督部門を統合。地方支分部局として地方郵政監察局,地方郵政局,地方電波監理局郵便局など,付属機関として電波監理審議会などが置かれた。中央省庁等改革基本法により2001年から総務庁,自治省と統合されて〈総務省〉となったが,郵政事業についてはその外局の郵政事業庁に継承され,2003年4月からは日本郵政公社に移管された。
→関連項目全逓信労働組合逓信省逓信総合博物館電気通信省

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改訂新版 世界大百科事典 「郵政省」の意味・わかりやすい解説

郵政省 (ゆうせいしょう)

郵政事業(郵便,貯金,簡易保険のいわゆる郵政三事業)を運営するとともに,電気通信行政を担当する行政機関。その歴史は1868年(明治1)設置の駅逓司,85年設置の逓信省にさかのぼるが,これが1949年郵政省と電気通信省に分割された。その後,52年電気通信省の主体は日本電信電話公社(現,日本電信電話(株))となり,郵政省は電波監理行政や日本電信電話公社の監督業務をも担当することとなり,今日に至っている。その内部部局は,大臣官房および6局からなっている。郵政三事業については,郵便事業を担当する郵務局,郵便貯金事業,郵便為替事業および郵便振替事業を担当する貯金局,簡易生命保険事業および郵便年金事業を担当する簡易保険局のほか,大臣官房人事部,財務部,施設部,国際部が置かれている。地方出先機関としては地方郵政局(11),地方郵政監察局(10),貯金事務センター(30),簡易保険事務センター(7)があり,郵便,貯金等第一線の窓口機関として2万4000をこえる郵便局が全国に展開されている。郵政事業は郵政事業特別会計により運営されている政府最大の直営事業部門であり,郵政事業予算規模は3事業を合わせた郵政事業特別会計として7兆8793億円(1997年度)となっている。電気通信行政のうち,有無線を含めた総合電気通信政策の企画・立案・推進,宇宙通信政策の遂行等は通信政策局が担当し,電気通信事業の監督,周波数の割当て,電波監視等は電気通信局が担当する。また,放送に関する無線局の免許・監督等は放送行政局が担当する。なお,電波監理行政の地方出先機関としては地方電気通信監理局(10)が置かれている。2001年の省庁再編により総務省となった。郵政三事業は総務省の郵政事業庁に,ついで03年4月より日本郵政公社に引き継がれた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「郵政省」の意味・わかりやすい解説

郵政省
ゆうせいしょう

国家行政組織法および郵政省設置法に基づき設置された国の行政機関。国の事業である郵便,郵便貯金,郵便為替,郵便振替,簡易生命保険の各事業と電気通信に関する事務を一体的に遂行する責任を負った。このほか,日本電信電話株式会社などからの委託業務,国民貯蓄債券や印紙の売りさばき,年金および恩給の支給その他国庫金の受け入れ払い渡し,国債および地方債などの募集の取り扱いなどの業務も司った。1885年に逓信省として設置され,1949年に郵政省と電気通信省に分割されたが,1952年の日本電信電話公社の設立に伴い電気通信省は廃止され,郵政省が電気通信行政も所管することとなった。郵政大臣を長とし,大臣官房および郵務局,貯金局,簡易保険局,通信政策局,電気通信局,放送行政局の 6局が置かれ,郵政審議会,電気通信審議会などの審議会,郵政研究所,通信総合研究所などの施設等機関,地方支分部局として地方郵政監察局,地方郵政局,地方電気通信監理局,郵便局が設置された。2001年1月省庁再編により自治省総務庁と統合され総務省となり,郵便,郵便貯金,簡易保険の郵政3事業は総務省の外局である郵政事業庁が担うこととなった。これらの事業は 2003年4月に発足した日本郵政公社に移管されたのち,2007年10月の郵政事業民営化に伴い日本郵政株式会社へと引き継がれた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「郵政省」の解説

郵政省
ゆうせいしょう

1949年(昭和24)6月逓信省の2省分割により創設された中央官庁。郵政を統轄し,郵政審議会・簡易保険郵便年金審査会・逓信博物館などの付属機関と,地方貯金局(84年地方郵政局に統合)・郵便局などの地方機関をもつ。52年日本電信電話公社(85年民営化)が設立され,その監督および電波監理,放送に関する行政業務を開始。53年新設の国際電信電話の監督を所管に加えた。2001年(平成13)1月,中央省庁再編により自治省・総務庁と統合して総務省となり,郵政事業部門の外局として郵政事業庁となった。2007年に民営化。

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世界大百科事典(旧版)内の郵政省の言及

【郵便】より

…また,11年には速達の取扱いが東京,横浜の市内と両都市間で初めて実施された。 第2次大戦後の49年6月,逓信省が電気通信省と郵政省に分割され,今日の郵政省が誕生した。昭和30年代後半から高度経済成長の中で郵便物数が急増し,合理的な作業を進めるため66年,郵便物に定形,定形外の規格を設定し,68年7月1日から郵便番号制が実施された。…

※「郵政省」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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