知恵蔵 「通商摩擦」の解説 通商摩擦 最初は、個別商品の集中豪雨的な輸出から起きることが多い。その後、相手国で、失業問題や地域不況などの社会問題に発展して発生する二国間摩擦のこと。当初は2、3の品目(日本の例では、繊維、鉄鋼など)にすぎなかった輸出ラッシュが、やがて広範囲の商品群(テレビ、自動車、半導体など)に広がり、恒常的な貿易不均衡となって通商摩擦が激化、経済摩擦となる。輸入国側は輸出国側に輸出抑制を迫るが、市場原理に反した貿易抑制は、かえって経済合理性を損なうので、むしろ自国産品の買い付け増大による不均衡改善を輸出国側に要求することとなる。こうして問題は、輸出国側の市場開放、輸入拡大といった輸入体制・制度の問題に転化し、市場の開放をめぐっての論議に進展する。 (永田雅啓 埼玉大学教授 / 松尾寛 (株)三井物産戦略研究所副所長 / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by