最新 地学事典 「速度・状態依存摩擦則」の解説
そくどじょうたいいぞんまさつそく
速度・状態依存摩擦則
Rate-and State-dependent Friction Law
断層構成則の一種で,動摩擦係数µを,すべり速度Vと,摩擦面の状態の関数として表現。摩擦面の状態を表す変数(状態変数)の存在が仮定され,最も単純な場合は,状態変数θを用いてµ=µ(V,θ)と表される。すべりや時間経過に伴う状態変化を表現するための状態遷移則が付随。室内実験で認められる最大静止摩擦係数の対数静止時間に比例する増加や,Vを変化させた際のµの変化を再現するためにJ. H. Dieterich(1979)が提唱し,A. Ruina(1983)が定式化。θの時間微分に関しては,これまでに多くのモデルが提唱されている。通常µはVに対数的に依存する仮定が採られ,非常に小さな剪断応力においても完全な静止状態V=0は数学的には実現されない。この対数的な速度依存性は古典的な摩擦則の二元的運動状態(静止・動)を滑らかに繋いでおり,断層固着,非地震性すべり,地震時の高速すべりを含む地震のサイクルのような,広い時間スケールにわたる現象の解析において重要となる。
執筆者:野田 博之・高橋 美紀
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

