改訂新版 世界大百科事典 「造塊」の意味・わかりやすい解説
造塊 (ぞうかい)
各種の製鋼炉でつくられた溶融状態の鋼をいったん取鍋(とりなべ)に受けた後,鋳型(インゴット・ケース)に注入し,凝固させてインゴットをつくること。取鍋は底部に溶鋼を流出する湯口(ノズル)があり,開閉できる構造になっている。溶鋼の注入法には,鋳型の上方から注入する上注法と,耐火物の湯道を通して鋳型の下方から注入する下注法がある。インゴットの品質を重視するときは,一般に下注法を用いる。インゴットの重量は通常の炭素鋼では5~50tであるが,500tを超えるものもある。造られたインゴットは次の工程で分塊,圧延され,あるいは鍛造されて製品になる。鋼の種類は溶鋼の脱酸形式によって,リムド鋼,セミキルド鋼,キルド鋼,キャップド鋼に分類される。鋼材を使用するにあたっては,これらの性質の相違を十分理解しておくことがたいせつである。
→インゴット
執筆者:宮下 芳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報