連続地下壁(読み)れんぞくちかへき

改訂新版 世界大百科事典 「連続地下壁」の意味・わかりやすい解説

連続地下壁 (れんぞくちかへき)

安定液を用いて掘削壁面の崩壊を防ぎながら地下に壁状の溝孔を掘削し,これにコンクリートを打ち込んで構築する連続した壁体。壁状のものと,柱列状のもの(柱杭の連続したもの)があるが,最近では,連続地下壁といえば,一般に壁状のものを指しており,同義語として,地下(中)連続壁工法,安定液工法,泥水壁工法などと多種多様の呼ばれかたをされている。この工法はヨーロッパで開発された工法であり,日本では,昭和30年代半ばに初めて実施され,それ以後,40年代の都市内の建設工事の増加と,それに伴う騒音振動地盤沈下などの建設公害の対策工法として利用度が増大し,急速に発展した。その間,施工技術の研究開発が進められ,当初の単なる仮設壁としての利用から最近では地下構造物や基礎などの永久構造体として広く利用されている。構築方法は,図に示すように溝孔内に安定液の泥水を満たし壁面の崩壊を防ぎながら,各種の掘削機で深い溝孔を壁状に掘削し,その中へ必要に応じて鉄筋籠を建て込んだのちコンクリートを打設,地上から機械施工で地中鉄筋コンクリートの壁を構築する。連続地下壁は,施工時の騒音・振動が少ない,壁体の剛性が高く止水性がよい,周辺地盤の沈下を防止できる,ほとんどの地盤条件に適合して施工できる,仮設壁はもちろん永久構造物として利用できる,などの特徴を有しており,本体利用の用途は表のように多様化している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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