化学辞典 第2版 「過ホウ酸」の解説
過ホウ酸(塩)
カホウサン
perboric acid(perborate)
H2B2(O2)2(OH)4(155.67).中心原子Bに O22- が結合しているから,ペルオキソホウ酸(peroxoboric acid)とよぶべきであるが,IUPAC命名法では,過ホウ酸と命名している.安定な遊離酸は存在しない.塩は,アルカリ金属塩,アンモニウム塩などが知られており,Na塩は市販されている.Na塩はメタホウ酸ナトリウムに,アルカリ性で過酸化水素を作用させてつくる.Na塩は三斜晶系の無色の結晶で,見掛け上はNaBO3・4H2Oの組成をもつ.実際はNa2[(OH)2B(O2)2B(OH)2]・6H2Oというイオン結晶で,酸イオンは,図に示すように,2個のB原子それぞれに各二つのOHが結合し,両方のB原子は二つの-O2-で橋かけされている.B-O1.495 Å,O-O1.480 Å,B-OH1.442 Å.空気中では吸湿性で,O2 を発生して分解し,加熱すると分解が進む.水溶液は過酸化水素を遊離して酸化力がある.脱臭剤,殺菌剤,消毒剤などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報