過払い金返還請求(読み)かばらいきんへんかんせいきゅう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「過払い金返還請求」の意味・わかりやすい解説

過払い金返還請求
かばらいきんへんかんせいきゅう

利息制限法規定より多く支払った利子手元に取り戻す手続。利息制限法に定める年利上限(15~20%、元本により異なる)と出資法の上限(29.2%)の間の「グレーゾーン金利」について、2006年(平成18)、最高裁判所は「実質的に無効」とした。これ以降、特別な事情がない限り、債務者や元債務者はグレーゾーン金利の支払い分(過払い金)を取り戻すことができるようになった。ただし、無条件に過払い金が返還されるわけではない。貸金業者に請求を行うためには弁護士などの力が必要な場合が多く、弁護士事務所に依頼が殺到し、弁護士業界はバブルともいわれるほどの活況を呈することになった。その結果、依頼者との十分な面談を行わないまま自己破産処理や債務の取りまとめなどを行う、多額の手数料を要求する、弁護士資格をもたない事務職社員が手続を行う、などの不適切なケースが横行したため、日本弁護士連合会はガイドラインを設けるなどして、不良弁護士、悪徳弁護士の排除に努めた。なお、請求金額が140万円以下の場合は、司法書士が手続きを行うこともできる。返還請求の時効は10年である。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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