精選版 日本国語大辞典 「利息制限法」の意味・読み・例文・類語
りそく‐せいげんほう ‥セイゲンハフ【利息制限法】
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高利を取り締まり、債務者を保護することを目的とする法律。1954年(昭和29)制定。昭和29年法律第100号。通常の金銭消費貸借契約と、債権者が業として行う(反復継続する意思をもってする)消費貸借である営業的金銭消費貸借契約とに分かれて規制が設けられている。
金銭消費貸借上の利息について、一定率(元本が10万円未満の場合は年2割、10万円以上100万円未満の場合は年1割8分、100万円以上の場合は年1割5分)を超える高利が制限され、その超過部分は私法(個人と個人の間を規律する法)上無効とされる。また、その制限が潜脱(ひそかに脱法)されないように、利息の天引の規制、みなし利息の特則、賠償額の予定の制限ならびに違約金の制限が規定されている。
かつて、同法には、債務者が制限超過利息を任意に支払ったときはその返還を請求できない旨を定める条項が存在していた。私法上無効であるはずの超過利息の返還を、債務者が要求することができないという矛盾に陥っていたのである。これに対して、裁判所は判例による法解釈を通して、まずは超過部分の元本充当を認め、そして、元本充当後も残る超過部分の返還請求が認められるに至り、同条項は実質的に死文化した。
貸金業者はいわゆるグレーゾーン金利(出資法に違反する刑罰金利と、利息制限法に違反して私法上違法となる制限金利との差)でもって金銭を貸し付けているのが通常であった。よって、前記判例の動向により、債務者はグレーゾーン金利の返還を求められるはずであった。しかし、1983年に制定された「貸金業の規制等に関する法律」(昭和58年法律第32号。「貸金業規制法」と略称されたが、2006年改正時「貸金業法」に改称)は、貸金業者への法規制を強めることの見返りに、貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約に基づく支払いにつき、利息制限法超過部分(グレーゾーン金利)の支払いを有効な利息の債務の弁済とみなす場合(みなし弁済)があることを規定してしまった。ところが、裁判所は判例による法解釈を通して、今度はこの貸金業法の条項の適用範囲を狭めるようになった。この裁判所による再三の努力が結実し、2006年(平成18)には、超過利息の返還請求ができないとする利息制限法の条項が削除されるに至った(平成18年法律第115号)。また、同年の出資法改正により刑罰金利が引き下げられ、グレーゾーン金利は撤廃された。
[福原紀彦・武田典浩]
『小野秀誠著『利息制限の理論』(2010・勁草書房)』▽『大村敦志著『法律学大系 消費者法』第4版(2011・有斐閣)』▽『日本弁護士連合会編『消費者法講義』第4版(2013・日本評論社)』
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…元本がおのずから利息を生む力と冷厳で機能的な貨幣の性質は,人間関係を分解し腐食させる面をもつから,利子生み資本は一般に嫌悪された。一部にはたしかに近代に至っても高利が行われ,また利息天引きあるいは実質的には利息なのに手数料,礼金等の名目で金を別にとるなどの悪習があったので,利息制限法(1877公布,1954新法公布)や貸金業法(1949公布)が定められた。1954年には貸金業法に代わって出資法が定められた。…
… 銀行などの金融機関が行う預貯金や貸付けの利率については臨時金利調整法に基づいて利率の最高限が定められてきた(1994年以降,金利は自由化された)が,今日社会問題となっているのは,銀行等以外の,サラリーマン金融業者等によるもっと高金利の金銭の貸付けである。これに対しては,利息制限法,〈出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律〉(1954公布。以下,出資法と略称),および,〈貸金業の規制等に関する法律〉(1983公布。…
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