グレーゾーン金利(読み)グレーゾーンキンリ

デジタル大辞泉 「グレーゾーン金利」の意味・読み・例文・類語

グレーゾーン‐きんり【グレーゾーン金利】

利息制限法上限金利15~20パーセント(元本によって率が変わる)と、出資法の旧上限金利29.2パーセントとの間の金利。この金利で営業する貸金業者が多く、多重債務などの問題を生む原因となった。
[補説]平成18年(2006)12月に貸金業法改正法が成立。出資法の上限金利を利息制限法と同じ20パーセントに引き下げることが定められた。平成22年(2010)6月、出資法の上限金利の引き下げが施行され、グレーゾーン金利は廃止された。グレーゾーン金利廃止後も過払い金の返還請求は可能。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレーゾーン金利」の意味・わかりやすい解説

グレーゾーン金利
ぐれーぞーんきんり

利息制限法が認めた上限金利(年15~20%)より高く、出資法(改正法施行以前)が認めた上限金利(年29.2%)以下の金利帯。多くの消費者金融業者サラリーマン金融)が合法的にこの金利帯(グレーゾーン金利)で貸付をしていたが、多重債務者の増加が社会問題化し、廃止が決まった。

 利息制限法は元本100万円以上については借金の金利上限を年15%、元本10万円以上100万円未満は年18%、10万円未満は年20%と定め、それを超える金利は違法、無効としている。一方、出資法は2000年(平成12)以降、年29.2%(閏年(うるうどし)は年29.28%)までの利息契約を認めており、貸金業規制法は両方の間のグレーゾーン金利での貸付が有効とされる場合がある(みなし弁済規定)としてきた。しかし全国で200万人を超える多重債務者が発生。利息制限法の上限を超える金利を払わされたとの訴訟が相次ぎ、最高裁は2006年に借り手に有利な司法判断を示した。これを受け同年、出資法の上限金利を20%に引き下げ、みなし弁済規定を廃止し、グレーゾーン金利を撤廃する法律が成立した。改正貸金業規制法(改正に伴い貸金業法に改称)は2006年末に公布、2010年6月に施行され、グレーゾーン金利は撤廃された。

 最高裁判決以降、消費者金融会社への規制が厳しくなるとの観測が強まり、消費者金融会社の株価は低迷。各消費者金融会社は改正法の公布に先だって、金利上限を引き下げた。ただし、高金利でも資金を調達したい中小企業経営者や個人が合法的な貸金市場から締め出され、結果として出資法に違反した業者(闇(やみ)金融)がはびこるとの問題点も指摘されている。

[編集部]

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知恵蔵 「グレーゾーン金利」の解説

グレーゾーン金利

貸金業の上限金利は利息制限法上(1)元本10万円未満で年20%、(2)10万円以上100万円未満で18%、(3)100万円以上で15%と定まっている。しかし、「みなし弁済」例外規定により一定の書面を交付するなど条件を満たせば、債務者が(1)〜(3)を超える利息を支払っても有効な弁済とみなされる。この場合の上限金利が出資法の29.2%。この2つの間の金利をグレーゾーンという。みなし弁済の条件は厳密なもので、本来は消費者金融などではほとんどが条件を満たさない違法なものである。しかし、現実には多くの業者がグレーゾーン金利で貸し付けている。最高裁は2006年1月、事実上「灰色金利」を認めない判決を下した。それを受けて過払い利息返還を求める訴訟が急増。返還費用は大手4社だけで1400億円を超える。政府与党は06年秋の臨時国会で法整備を図り、貸金業の上限金利は利息制限法に一本化される。少額・短期に限った特例金利は2年間設けられ、利率は25.5%。

(篠崎悦子 ホームエコノミスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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