道しるべ(読み)みちしるべ

改訂新版 世界大百科事典 「道しるべ」の意味・わかりやすい解説

道しるべ (みちしるべ)

道路の分岐点にあって,それぞれの道が進む方向・目的地・距離などを記し,旅行者の便に供したもの。道標の字を当て,〈みちじるし〉〈どうひょう〉などと言うこともあり,旧街道沿いのもの,あるいは登山道沿いのものなど,歴史的なもの,もしくは小規模なそれを指すことが多い。日本における道しるべの起源は明確ではないが,現存する遺物の大半は近世,さらには近代以降に設けられたものである。石製のものが多いが,木製のものもある。石製の場合,道しるべとして造られたもののほかに,庚申こうしん)塔,道祖神,石地蔵,石灯籠,常夜灯等,石神・石仏などの石造物にこれを兼ねさせたものも見られる。前者の設置には為政者が関与することがあるが,後者民衆が自らの意志で設けたものがほとんどである。旅の安全を願う庶民の素朴な信仰心が,これら石造物のなかにこめられていると言ってよい。一方,木製の道しるべは,杭を建ててそこに墨書したものである。しかし,石製のものより風化しやすく,普及率は低かった。なお,近世各街道沿いには一里塚が設けられており,これも一種の道しるべである。
道路標識
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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