道標(読み)ミチシルベ(その他表記)Vekhi

デジタル大辞泉 「道標」の意味・読み・例文・類語

みち‐しるべ【道標/道導】

道の方向距離などを示す標識道案内。どうひょう。
物事の順序を教えて手引きの役をすること。また、その人や、そのもの。「人生の―」
ハンミョウの別名。
[類語]道路標識道標

どう‐ひょう〔ダウヘウ〕【道標】

通行人便宜のため、方向や距離などを記して路傍に立てた標識。道しるべ
[補説]書名別項。→道標
[類語]道路標識道しるべ

どうひょう【道標】[書名]

宮本百合子長編小説。昭和22年(1947)から昭和25年(1950)にかけて、「展望」誌に連載。全3部からなる単行本は、昭和23年(1948)、昭和24年(1949)、昭和26年(1951)にそれぞれ刊行。著者晩年の代表作

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精選版 日本国語大辞典 「道標」の意味・読み・例文・類語

みち‐しるべ【道標・道導】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 道路の方向や距離などを示すため道ばたに立てた標識。みちじるし。どうひょう。
    1. [初出の実例]「霧中樹を以て路ちしるべとして行者謂之行相別也」(出典:杜詩続翠抄(1439頃)三)
  3. ( ━する ) 道案内、物事の順序や手引きなどをすること。また、そのための人や文書。案内者。手引き。
    1. [初出の実例]「高麗(こま)の王(こきし)、乃ち久礼波(くれは)久礼志(くれし)、二人(ふたり)を副(そ)へたり。導者(ミチシルベ)と為」(出典:日本書紀(720)応神三七年二月(北野本南北朝期訓))
  4. 昆虫「はんみょう(斑猫)」の異名。《 季語・夏 》 〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕

どう‐ひょうダウヘウ【道標】

  1. [ 1 ] 通行人の便宜のために、方向・行先・距離などを書いて、道ばた・辻などに立てたしるし。みちしるべ。
    1. [初出の実例]「道標(ダウヘウ)に似た御影の角柱が立ってゐた」(出典:満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉二七)
    2. 「日本人自らの道標たるべき日本的原理が」(出典:現代史の課題(1956)〈亀井勝一郎〉日本近代化の悲劇)
  2. [ 2 ] 小説。宮本百合子作。昭和二二年(一九四七)から同二五年にかけて発表。昭和初期、建設途上のソビエトの躍進する姿を佐々伸子の目を通して描いた自伝的作品。

みち‐じるし【道標】

  1. 〘 名詞 〙みちしるべ(道標)

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改訂新版 世界大百科事典 「道標」の意味・わかりやすい解説

道標 (どうひょう)
Vekhi

ロシアの革命的インテリゲンチャの世界観を批判した論文集。1909年にモスクワで刊行され,当時のロシア社会に賛否両論の大論争を巻き起こした。執筆者は7名で,P.B.ストルーベ,N.A.ベルジャーエフ,ブルガーコフSergei N.Bulgakov(1871-1944),ゲルシェンゾーンMikhail O.Gershenzon(1869-1925),フランクSemyon L.Frank(1877-1950)らであった。かつてマルクス主義を奉じ,1900年前後から反マルクス主義の立場へ移った哲学者,政論家,文学者たちが中心である。彼らの間にはそれぞれの思想において多少の相違はあったものの,次のような点では一致し,それが論集の共通の主題となった。すなわち,1905-06年にロシア各地で生じた革命的事件や,それに続くロシア社会の混乱と荒廃の原因は,ベリンスキーチェルヌイシェフスキーなどの伝統を受けつぐ革命的インテリゲンチャの世界観の誤りにあると考え,その誤りがロシアを破滅へ導くかもしれないと警告した点である。哲学的には,彼らは唯物論実証主義を批判して,宗教や精神的なものの価値を再認識せよと主張し,政治的には,急進的な革命至上主義を批判して,精神的・創造的価値を重視することなしにロシア社会の再建はありえないと,インテリゲンチャに訴えた。この論集に対して,レーニンの批判論文《〈道標〉について》(1909)をはじめ,左翼グループからの攻撃が相次いだ。十月革命後,執筆者のほとんどがヨーロッパへ亡命し,ドイツやフランスを中心に,宗教あるいは哲学の分野で活動を続けた。
執筆者:


道標 (どうひょう)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「道標」の意味・わかりやすい解説

道標
どうひょう

古くは「みちしるべ」といわれ、道路や山中などに目的地までの距離や方向指示のために設けられたもの。人工的に木や石でつくられたもののほか、積み石(ケルン)や、鉈目(なため)、目につきやすい自然の事物なども含まれる。古く街道筋の追分などに設けられ、道標とともに登山旅行の安全を願って道祖神が置かれてあることも多い。富士山その他の山の二合目・三合目などの標識もそれである。道標は道を行く人にとっては行程の予定をたてたり、道の選定をするのになくてはならぬものであり、ときには、これがないために遭難することすらある。近年マナーの欠如で登山者のなかに道標にいたずらをして方向を変えたりする者があるが、これは危険と直結するから、厳に戒めなければならない。

[徳久球雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「道標」の意味・わかりやすい解説

道標
どうひょう

宮本百合子の長編小説。 1947~50年発表。『伸子』『二つの庭』に続く最後の自伝的長編で,主人公伸子がソ連で1年半近く過したのちヨーロッパ各地を旅を続けて帰国するまでの3年余の生活を綴る。ソ連でゴーリキーや片山潜に会い,パリでは日本人青年と恋愛に似た事件もあったりするが,全体としては資本主義と社会主義体制の差を実感しつつ次第にマルクス主義に傾斜していく伸子の心情が語られている。

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普及版 字通 「道標」の読み・字形・画数・意味

【道標】どうひよう

道案内。

字通「道」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の道標の言及

【栞∥枝折】より

…栞は一般的には村人が山道などで,帰路の道しるべ(道標)として木の枝を折りかけたものとされている。道しるべということであれば,必ずしも枝を手折る必要はない。…

【道しるべ】より

…道路の分岐点にあって,それぞれの道が進む方向・目的地・距離などを記し,旅行者の便に供したもの。道標の字を当て,〈みちじるし〉〈どうひょう〉などと言うこともあり,旧街道沿いのもの,あるいは登山道沿いのものなど,歴史的なもの,もしくは小規模なそれを指すことが多い。日本における道しるべの起源は明確ではないが,現存する遺物の大半は近世,さらには近代以降に設けられたものである。…

【オランダ文学】より

…また,フランス革命の影響によるオランダのフランス服属という民族受難のこの時期(1795‐1813)に,抒情詩《祈り》(1796),戯曲《フローリス5世》(1808)などを書いたビルデルデイクは,オランダ・ロマン主義の先駆として重要な役割を演じた。
[19~20世紀]
 1837年ポットヒーテルにより,自由主義に基づく国民文学の振興を旗じるしに《道標Gids》誌が創刊されると,民族的ロマン主義運動が盛んになり,ボスボーム・トゥサーン夫人Anna L.G.Bosboom‐Toussaint(1812‐86)が三部作《レスター伯》(1846‐55),《デルフトの呪術師》(1870)などの優れた歴史小説を書いた。一方,ベーツは写実的ユーモア小説の傑作《カメラ・オブスキュラ》(1839)を書き,またムルタトゥーリは自国の植民政策の非人道性を告発した小説《マックス・ハーフェラール》(1860)を発表し,その熱情的理想主義と斬新なスタイルは近代オランダ文学に絶大な影響を与えた。…

【ポットヒーテル】より

…ズウォレ生れ。アムステルダムに住み,同志とともに《道標Gids》誌(1837‐65)を刊行し,ロマン主義,ナショナリズムの立場に立って,沈滞したオランダ文学革新ののろしをあげた。1843年以降同誌の編集者として重きをなし,種々の筆名を使って多くの寄稿を行った。…

※「道標」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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