遠山氏(読み)とおやまうじ

改訂新版 世界大百科事典 「遠山氏」の意味・わかりやすい解説

遠山氏 (とおやまうじ)

美濃の中・近世武家加藤景廉が源頼朝より勲功賞として美濃遠山荘地頭職を与えられ,その子景朝が荘内岩村に拠って遠山を称したのに始まる。遠山荘はほぼ現在の岐阜県恵那郡全域,および木曾馬籠辺に及ぶ広大な荘園である。景朝を本宗として一族が荘内を分領し,やがて土岐氏と並ぶ美濃の名族となった。室町時代には将軍家奉公衆となる者が輩出した。7流に分かれ,戦国の争乱には織田・武田両勢力に圧せられた。遠山友政は1583年(天正11)森長可に父祖伝来の苗木城を奪われたが,関ヶ原の功賞として1600年(慶長5)苗木城1万500石余を与えられ,以後苗木藩として明治維新に至る。維新後子爵。遠山利景も関ヶ原の功として1603年,武田氏に奪われた明知城6500余石を与えられ,次の方景のときに同城を廃して陣屋を置き,代官村上氏を派して民政にあたらせ,旗本として維新に至る。なお武蔵,相模,甲斐,三河などにも室町時代に遠山姓の武士がみられるが,上述の遠山氏との関係は不明。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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