那須温泉(読み)なすおんせん

日本歴史地名大系 「那須温泉」の解説

那須温泉
なすおんせん

[現在地名]那須町湯本

那須岳山麓に散在する温泉の総称で、湯本ゆもと(鹿の湯)大丸おおまるきた弁天べんてん高雄たかおの五湯と黒磯市板室いたむろ三斗小屋さんどごやの二湯はすでに近世期までに知られており、那須七湯と通称された。明治二四年(一八九一)に発見されたあさひ温泉を加え那須八湯、大正期以降の新那須・八幡やはた飯盛いいもり郭公かつこうの四湯を加え(板室を除く)、那須一一湯(飯盛・郭公は現在廃湯)などの呼称もある。

「那須記」などによれば、鹿の湯の発見は舒明天皇の代といい、茗荷沢みようがざわの猟人狩野三郎が狩に出て、矢疵を負わせた白鹿を追い、温泉の霊神という老翁の導きで鹿が湧出する温泉に浴しているのをみたことによるという。天平一〇年(七三八)の駿河国正税帳(正倉院文書)によれば、「那須湯」に病気療養に向かった従四位下小野牛養主従一三人のために食料が支給されており、すでに奈良時代より都人に知られる温泉であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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