部分酸化(読み)ブブンサンカホウ

化学辞典 第2版 「部分酸化」の解説

部分酸化(法)
ブブンサンカホウ
partial oxidation

】有機化合物,とくに炭化水素を酸化して酸素化合物を生成する反応で,完全酸化(完全燃焼)に対する用語.たとえば,エテンよりエテンオキシドの生成,p-キシレンよりテレフタル酸の生成など.【水素または合成ガスの工業的製法の一つ.天然ガスから残油(重油)に至る各種の石油系原料を高温で酸素と反応させ,一酸化炭素と水素の混合ガスを製造する方法.一般式,

によって表される.無触媒方式では1100~1400 ℃,接触式ではニッケル触媒を用い,700~900 ℃ において行われる.通常,スチームを添加して反応させ,スチームリホーミングの反応も併起する.生成ガスの水性ガスシフト反応および精製により,水素または合成ガスが製造される.なお,アンモニア合成用水素の製造では,酸素のかわりに空気を用いることで,窒素-水素混合ガスを製造できる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の部分酸化の言及

【石炭ガス化】より

…石炭を原料として燃料ガスあるいは化学工業用の合成ガス(一酸化炭素と水素を主成分とする混合ガス)あるいは水素を生産することができる。石炭をガス化するためには,(1)熱分解(乾留),(2)部分酸化,(3)水素化分解などの原理を用いるが,そのいずれを採用するかは,目的とするガスの種類による。石炭ガス化技術はすでに工業的な実績をもつものも多いが,1970年ころから,その技術開発が再開された。…

※「部分酸化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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