精選版 日本国語大辞典 「重油」の意味・読み・例文・類語
じゅう‐ゆ ヂュウ‥【重油】
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燃料油の一種で、軽油より比重が大きいことから重油とよばれるようになった。重油は比重0.82~0.97の、褐色または黒褐色の粘稠(ねんちゅう)な油である。重油は、原油から常圧蒸留によりナフサ・灯油・軽油などの軽質油を除いた残油、この残油から減圧蒸留により減圧軽油を除いた残油、ほかの石油精製プロセスで副生する残油、またはこれらの残油に軽油を混合したものである。原油の性状にもよるが、原油の30~50容量%は重油として製品化されている。発熱量は重油1リットル当り1万0240~1万1100キロカロリーであり、石炭の1.5倍以上である。
重油は粘度によりA重油、B重油、C重油に大別され、さらにJIS(ジス)(日本工業規格)により粘度、硫黄(いおう)分、流動点などの異なった6種類の規格に分類されている。
[難波征太郎]
粘度は重油の移送や燃焼の際の噴霧化に影響を及ぼす。流動点の高いものは取扱いが不便である。硫黄分は大気汚染と関係するほか、煙道の腐食、窯業あるいは銅精錬など燃焼ガスが直接製品に触れる場合の製品の品質に影響を及ぼす。現在では、とくに大気汚染防止のため水素化脱硫により重油の低硫黄化が行われている。
[難波征太郎]
2006年(平成18)に日本で生産された重油は約6000万キロリットルであり、そのうちA重油は43%、B重油は生産が少なく、B・C重油で57%である。需要との関係からC重油の割合は毎年低下しているが、高品位の重油を製造するためには大量の脱硫した軽油が必要であり、経済的あるいは石油製品のバランス上の問題があるため限界がある。
重油は灯油や軽油に比べて蒸発しにくいため、燃焼はバーナーから噴霧させて霧状とし、空気とよく混合して行う。燃焼を円滑に行わせるために、助燃剤、流動点降下剤、スラッジ分散剤などの添加剤をあらかじめ重油に加えておく場合が多い。
[難波征太郎]
A重油のおもな用途は窯業用、金属精錬用、小型ディーゼルエンジン用などであり、B重油は大型ディーゼルエンジン用などであり、C重油は大型ボイラー用、大型ディーゼルエンジン用、鉄鋼用などである。重油は石炭に比べて発熱量が多く、流体燃料であるために、調節、取扱いが容易であることから、燃料としての石炭にとってかわり需要は飛躍的に増大した。しかし、1973年(昭和48)の第一次石油危機後の石油価格の高騰に伴い、重油の需要は減少傾向にあり、液化天然ガスへの燃料転換、石炭の復活などで、とくにC重油の需要が減っている。
[難波征太郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
原油中の最高沸点留分(約300 ℃ 以上)として得られる石油製品.用途によりA重油,B重油,C重油の3種類に分けられ,この順に粘度および凝固点が高くなり,硫黄分も多くなる.原油を常圧蒸留し,軽油までを留出させて得られる残油と重質軽油との調合によって製造され,A重油は後者を,C重油は前者を主成分としている.B重油はこの中間にあたるが,現在ではほとんど生産されていない.主として,A重油は小型ボイラー,ビル暖房,小型および一般ディーゼルエンジン燃料に,C重油は大型ボイラー用および大型ディーゼルエンジン燃料として用いられる.また,重油は原油の常圧蒸留残油と同義にも扱われ,この意味で重油は燃料用以外に,クラッキング原料,水素の製造原料,潤滑油の製造原料などにも用いられる.重油は石油製品中もっとも硫黄分が多く,とくにわが国で多く輸入されている中東原油系の重油に多い.これが燃焼すると二酸化硫黄となり,大気汚染の原因となるため,重油の水素化脱硫が実施されている.重油は軽油以下の留出油と異なり,触媒毒成分の重金属化合物および触媒を汚染させるアスファルト分を含有するため,その完全脱硫は困難であるが,直接脱硫法または間接脱硫法により,硫黄分をA重油で0.5% 以下,C重油で3.5% 以下まで低下させている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
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