日本歴史地名大系 「郷ノ浦町」の解説 郷ノ浦町ごうのうらちよう 長崎県:壱岐郡郷ノ浦町面積:四七・二九平方キロ壱岐島の南西部にあり、東部から南部にかけては壱岐水道に面する。北より勝本(かつもと)町・芦辺(あしべ)町・石田(いしだ)町に接する。海岸部は湾入に恵まれ、片苗(かたなえ)湾・母(ほお)ヶ浦・半城(はんせい)湾・宇土(うど)湾・梅津(うめづ)湾などがあり、その沖に大小の島々が点在する。南西部に大(おお)島(面積一・一六七平方キロ)・長(なが)島(面積〇・四七一平方キロ)・原(はる)島(面積〇・四八平方キロ)が連なり、大島と渡良(わたら)半島の間に大島瀬戸がある。南部中央に壱岐島内で最高峰の岳(たけ)ノ辻(二一二・九メートル)があり、壱岐島を望見できる。おもな河川は南部の河内(こうち)川・永田(ながた)川などであるが、いずれも流路は短い。国道三八二号、県道の郷ノ浦―芦辺線・郷ノ浦沼津(ぬまづ)―芦辺線・渡良―初瀬(はぜ)線が通る。郷ノ浦港からは対馬や福岡県博多と結ぶフェリーが出ている。縄文時代から古墳時代にわたる鎌崎(かまさき)海岸遺跡では狩猟や漁労の用具などが出土、名切(なきり)遺跡の縄文時代中期・晩期の文化層からは石鏃・石銛など漁労・狩猟にかかわる道具が出ている。弥生時代の遺跡は武生水(むしようず)・柳田(やなぎだ)の両地区に広く分布、古墳では志原(しわら)地区の二基の前方後円墳のほかは円墳となっている。律令制下では石田郡に属し、「和名抄」に記される物部(ものべ)郷・篦原(しはら)郷が当町域に比定されるが、潮安(しおやす)郷も当地であったとされるので、壱岐郡にも及んでいたことになる。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by