武生水村(読み)むしようずむら

日本歴史地名大系 「武生水村」の解説

武生水村
むしようずむら

[現在地名]郷ノ浦町郷ノ浦・本村触ほんむらふれ東触ひがしふれ片原触かたばるふれ永田触ながたふれ庄触しようふれ

現郷ノ浦町域の中央部南寄りに位置し、入江に臨む。南東にたけつじがある。南の片原村、北の庄村はいずれも当村の枝郷。村内に壱岐八浦の一つ郷ノ浦があるが、平戸藩浦掛の支配を受け、史料上も在方の本村武生水村とは別に扱われる場合が多い。地名は日本武尊が当地で産湯につかったことに由来するというほか、御庄津からの転訛とする説がある。正平二四年(一三六九)の壱岐神領図(壱岐史拾遺)では物部ものべ庄のふつ(現物部布都神社)の神領九四町のうちとして武生水村とあり、同年とされる壱岐国七社神領敷地定書(同書)でも鴨打氏の領知としてみえる。「海東諸国紀」では壱岐七郷の一つとして無山都郷とみえ、鴨打代官が当地の主と記される。太宗六年(一四〇六)「鴨打三川守源伝」や壱岐守護代源頼広らは朝鮮王朝に被虜人を送還、また礼物を献上しているが(「朝鮮王朝実録」同年九月壬午条)、同七年五月などにも通交し、王朝との交易を繰返している(同書)。康正二年(一四五六)鴨打永が大屋おおや城に居住したと伝え(壱岐郷土史)、現東触の大屋辻おおやのつじにある遺構が同城跡という。永禄一〇年(一五六七)の壱岐国田帳(竹下家文書)に武生水として三〇町六反三丈、ほかに神領四丈とあり、別に鴨打分の武生水として一〇町一反二丈が記され、七町三反の牧山刑部大輔ら一八人の給人に分給されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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