都市林(読み)としりん

改訂新版 世界大百科事典 「都市林」の意味・わかりやすい解説

都市林 (としりん)

もともとドイツ語のStadtwald訳語として与えられたものであるが,原語は市有林を意味している。これらの樹林の多くは中世以来,王侯貴族の所有林を市に移管したもので,市民や農民にとって生活上欠かせないものであった。燃料,家具用材料の供給の場であったし,ミズナラブナの種実はブタ飼料として重要であったから,林内放牧も行われていた。19世紀以降,このような森林に対してレクリエーション利用が加わってきた。とくに都市の発展によって,今や都市の中心近くに残存するようになった樹林においてはこの傾向が強い。さらに,レクリエーション利用を第1目的とするケルンの都市林,アムステルダムの森のようなものも出現するに至った。したがって都市林は〈都市の生活圏域にあって,自然的レクリエーション機能を介して市民生活と深いかかわりあいをもつ公有林〉(高橋理喜男)ということができる。このような都市林のなかで長い歴史をもつ代表的なものに,グリューネワルトGrünewald(ベルリン),アイレンリーデEilenriede(ハノーファー),ウィーンの森Wienerwald,エッピング・フォレストEpping forest(ロンドン)などがある。
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