重金属拮抗薬(読み)じゅうきんぞくきっこうやく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「重金属拮抗薬」の意味・わかりやすい解説

重金属拮抗薬
じゅうきんぞくきっこうやく

重金属拮抗剤。重金属の中毒解毒に用いられる薬物。重金属塩はタンパクと結合して不溶性の化合物をつくり、局所作用として皮膚、粘膜収斂(しゅうれん)・腐食作用を現す。また、吸収されれば全身作用として、細胞の代謝に必要なメルカプト基(‐SH)と結合し、細胞の機能を阻害する。中毒症状として消化器障害、貧血、腎(じん)障害のほか、中枢神経障害がみられる。水銀、鉛、銅、クロム、鉄の慢性中毒が問題となっているが、これら重金属の中毒の解毒に用いられるのが重金属拮抗薬で、重金属と結合しやすく、さらにそれが体外に排泄(はいせつ)されやすいものである。ジメルカプロールBAL(バル))、エチレンジアミン四酢酸EDTA)、D-ペニシラミン、鉄の排泄に用いるデフロキサミンなどがある。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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