ジメルカプロール(その他表記)dimercaprol

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジメルカプロール」の意味・わかりやすい解説

ジメルカプロール
dimercaprol

BAL(British antilewisite)の略。重金属拮抗剤の一つ。第2次世界大戦中,ヒ素を含む毒ガス (ルイサイト) の拮抗剤としてイギリスで研究された。グリセリン類似構造をもち,透明,無色粘稠液体で,刺激性のある不快臭をもち,水に約7%しか溶けないが,有機溶媒によく溶ける。ある種の金属イオンに対して親和性が強く,金属塩が細胞に作用することを阻止すると同時に,細胞に結合した金属をこれから引離して結合し,体外に排泄する。ヒ素,水銀カドミウム,金,亜鉛など,メルカプト基結合によって作用を示す重金属の中毒のみに有効である。副作用としては,中枢神経系のもの (嘔吐,振戦,けいれん昏睡) と,循環器系のもの (細動脈収縮,頻脈,血圧上昇,毛細血管透過性亢進によるショックなど) がある。

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世界大百科事典(旧版)内のジメルカプロールの言及

【BAL】より

化学名2,3‐ジメルカプト‐1‐プロパノール(局方名ジメルカプロール)のこと。BALはBritish anti‐lewisite(イギリスのルイサイト解毒剤)の略称で,ヒ素性の毒ガス,ルイサイトの解毒剤として1936年イギリスでピーターR.A.Peterらにより発明された。…

※「ジメルカプロール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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